高機能カーボンナノチューブ繊維の設計と創製

自動車、航空機、電車などの構造材料の軽量化は省エネルギー化および二酸化炭素の削減をもたらします。また、センシング機能を持つ軽量でフレキシブルな導電性ワイヤーはウェアラブルデバイスやフレキシブルペーパーデバイスに必要とされ、注目されています。このような軽量・高強度・高導電率を持つ繊維材料として期待されているのが、炭素ナノ材料の1つであるカーボンナノチューブ(carbon nanotube: CNT)です。CNTは軽量なグラフィン・グラファイトのチューブ状物質であり、その1本の機械強度特性は炭素繊維を凌ぎます。しかし、1本のCNTはナノオーダーのサイズであるため、ハンドリングすることは難しいのが現状です。そこで注目しているのが1本1本のCNTを撚り合わせたCNT繊維(CNT fibers: CNTFs)です。結合剤(ポリマーなど)無しで撚り合わせたCNTFsは非常にフレキシブルですが、CNT同士が結合していないために密着性が低く、低機械強度、低導電性である欠点があります。本研究では、フレキシブル・軽量・高強度特性・高導電性を兼ね備えるCNTFsの創製を目指しています。